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JAPAN FUR ASSOCIATION 一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト

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JFAファーデザインコンテスト2020
最終審査会・表彰式レポート

「JFAファーデザインコンテスト2020」の受賞作品

リアルファーと共に歩む、ファッションの未来

毎年定期的に開催されているファーの祭典「JFAファーデザインコンテスト」は、今年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、従来とは異なるライブ配信を中心とした形式で実施されました。
同大会は、最高品質なリアルファーを取り扱うことができる国内唯一のコンテストであり、近年は世界各国でも開催されており、グローバルな人気を博していることが大きな特徴でもあります。
また日本毛皮協会(JFA)では、来年度を目安に福祉や環境、サスティナビリティなどの各審査項目を高い水準でクリアした製品を世に送り出すことを目的とした、FURMARKⓇファーマーク・プログラムも実施中。これまでと同様に、毛皮協会に加盟する各メーカーと連携し、学生や若い才能を持ったデザイナーたちへの支援を行なっていく一方で、循環型経済への貢献や伝統あるナチュラルファーの歴史を次世代へと繋いでいく取り組みも積極的に行なっています。
1971年の初開催から今年度で20回目を数える同コンテスト。「活かそう、自然からの贈り物」のテーマのもと、毛皮が持つ素材や特性を活かしながら、社会的な問題に対してもきちんと向き合い、ファッションを通して取り組んでいくことの重要性を大切にしてきました。また作品制作においても学生たちの力はもちろん、協力会社としてサポートするメーカー各社のスタッフとのコミュニケーションも生まれ、いわば企業と学生の貴重な出会いの場、さらには将来の有力デザイナーを育成する環境としての側面も担っています。

コンテスト史上初のライブ配信形式となった最終審査会の行方

総数3,000名を超える参加者による熾烈な予選を勝ち抜いたファイナリストたちによる、入魂の作品が出揃った最終審査会。今年は新型コロナウイルス感染症の対策としてソーシァル・ディスタンスへの配慮から、恒例であるランウェイ形式のプレゼンテーションではなく、ライブ配信形式で開催しました。
ただし例年にも増してクオリティの高い作品群を前に、シーンの第一線で活躍するスタイリストや人気デザイナー、著名なジャーナリストによる審査員陣もジャッジには頭を悩ませていた模様。
そんな大激戦となった本年度、最終的に栄えあるグランプリに輝いたのは、大阪モード学園の中西理貴さん。結果発表の際には、各審査委員より絶賛の評価が送られました。
今回、各審査員からの言葉にあったように、特に受賞した全5作品からは、毛皮が本来持つ魅力を最大限に活かした美しいデザインや次の時代を担う若者層へのアプローチが数多く見られたのも印象的でした。

審査員の各コメント

【北村信彦 ヒステリックグラマー デザイナー】

天然のリアルファーだからこそ出せる美しさをまず重要視しました。従いフェイクファーですとかアクリル系のボアなどでも表現ができる作品については、あえて点数を低く付けさせていただきました。また参加者は学生を中心とした若いデザイナーが中心だったこともあり、若者に需要のありそうなデザインの作品に高い点数をつけようと思い、今回のグランプリはそういった意味でも僕の中では過去最高得点を付けました。若いターゲット層にも十分にアピールができて、シンプルななかにゴージャスさや美しさが内包されており、毛皮でしか出せない魅力が感じられたと思っております。

【村上要 WWD JAPAN.COM編集長】

北村さんと被ってしまうのですが、僕もこの素材を使う意味のある洋服であり、デザインを選んだつもりです。とても高級で貴重な命を頂戴している素材なので、そこに意味があるべきだなと思っています。その意味でも最優秀賞の作品は、あえて個体差を美しいカラーグラデーションで表現していたり、優秀賞も複雑に柄が移り変わっていくデザインだったりで、リアルファーならではの特徴を存分に活かしていたといえると思います。そうした観点からもこの二つの作品は特に素晴らしかったなと思います。お疲れ様でした。

【中島英恵 ファッションディレクター/コンサルタント】

私はこの毛皮のコンテストは昨年から関わらせていただいておりまして、この一年はファッションのあり方というのが様々な観点から再考させられた年でもあったと思います。そのなかで、今回の受賞結果に関しては納得の内容でした。参加された皆様については、ファッションの強さや素材の特徴を活かし、その発想やトライアルを、皆様の素晴らしいエネルギーに変えていただけたらと願っています。ありがとうございました。

【中章 AKIRA NAKA クリエイティブ・ディレクター】

たくさんのアイデアと学生さんにとってなかなか機会のないプロの方との協業による作品ということもあって、そこに要した時間や気持ちの部分も十分に感じられました。受賞結果に限らずそれぞれ思い入れがあったと思います。そのなかで今回受賞の明暗を分けたのは、アイデアの先に素材特有の美しさを追求できていたかどうかという点だったのかなと個人的には思っています。また当初はランウェイショー形式での開催を想定していたと思いますので、全体的にデザインの傾向としてボリュームへ傾倒しすぎている印象を受けました。毛皮というのは素材自体に強さがあるので、もう少しリアリティのあるサイズ感での表現も見てみたかったなと思いますし、そうしたチャレンジが、このコンテストの奥行きや若いデザイナーさんたちの可能性にも影響していくんじゃないかなと感じました。お疲れ様でした。

【馬場圭介 スタイリスト】

今年はランウェイで見られなかったので、ランウェイで見られていたら結果は変わっていたかもしれませんでした。例年通り各メーカーさんの高水準な技術には感服いたします。受賞された方も受賞を逃した方も今後の活躍を期待しております。以上です。

表彰式の様子

◇最終審査会・表彰式

2020年12月16日 (水) 東京都立産業貿易センター浜松町館

◇主催

一般社団法人 日本毛皮協会(JFA)

◇後援

経済産業省、デンマーク大使館 ( ※順不同)

◇協力

国際毛皮連盟、コペンハーゲン・ファー、サガ・ファー、香港毛皮業協会、東京毛皮商工業協同組合 (※順不同)

◇各賞受賞者

●グランプリ:中西 理貴(大阪モード学園) 賞状、賞金50万円

●優秀賞:奥村 夏美(一般) 賞状、賞金20万円

●コペンハーゲン・ファー賞:今村 優希(名古屋モード学園) 賞状、賞金10万円

●サガ・ファー賞:鉄尾 里菜(大阪モード学園) 賞状、賞金10万円

●HKFF賞:中根 藍(名古屋モード学園) 賞状、賞金5万円

◇審査委員

馬場 圭介 (スタイリスト) 、北村 信彦(ヒステリックグラマー デザイナー)村上 要 ( WWD JAPAN.com 編集長) 、中 章 ( AKIRA NAKA クリエイティブ・ディレクター) 、中島英恵 (ファッションディレクター/コンサルタント) (※順不同敬称略)