JAPAN FUR ASSOCIATION 一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト

コンテスト独特の緊張感から歓喜への瞬間

会場となった東京・時事通信ホールには、毛皮を取り扱うメーカー関係者を始め、メディア、バイヤー、服飾専門学校生・大学生などが来場し、授賞式前から熱気に包まれました。この「JFAファーデザインコンテスト」は、高品質なリアルファーを取り扱うことができる国内唯一のコンテストで、ファッション業界内での注目度が高いことでも知られています。日本毛皮協会（JFA）では、毛皮協会に加盟する各社と連携し、最終審査会に選出された20組にメーカーが協力する形で作品を制作しています。

ストリートテイストあふれるブルゾンやパッチワーク状のコート、立体的なジャケットなどは制作が長期間におよぶことで、メーカー各社のスタッフと密なコミュニケーションを取ることが必要になります。また、こうした制作のプロセスを踏むことで、より実践的なデザイナーを育成することができるのです。グランプリの栄冠を勝ち取った近藤雄元さん（名古屋ファッション専門学校）は、デザインから制作過程、ランウェイショーに至るトータルな部分で評価を集めました。一方で、地道な制作期間を経て、最終審査会に臨んでいたのです。同コンテストは過去15回に渡って開催されており、有望な若手デザイナーを輩出しているほか、企業と学生の出会いの場としても機能しています。

ファーの特性を再認識させる結果に

ファイナリストのエントリー時点で独自性の強い作品が多く、最終審査会は接戦が予想されました。同審査会では、モデルが着用した作品をランウェイ形式で見ながら審査員が採点を行い、各賞を決めていきます。また前回から、ショーの直前にプレゼンテーションを行う時間を設け、審査員へ個別にアピールすることが可能になりました。

毛皮は「人類史上最古の服」とも称され、天然の柔らかな質感を生かせることでも、大変貴重な素材と言えます。さらに、毛皮の特性を反映させながら、現代のファッションに昇華させることがコンテストに求められています。今回の授賞6作品を見ると、コンテンポラリーでクリエイティブなファー作品が並びました。審査員には有力デザイナーやジャーナリスト、スタイリストなどが名を連ねていましたが、彼らも大いに刺激を受けたようです。

審査員の各コメント

【シュエ・ジェンファン Jenny Fax デザイナー】

素晴らしい作品が多かったです。今日は楽しかったです。ありがとうございました。

【坂部三樹郎 MIKIO SAKABE デザイナー】

皆さん、おめでとうございます。今回、初めてファーデザインコンテストの審査員を担当しましたが、やっぱりファーそのものの存在感や力強さ、印象の残り方はほかの素材とは全然違います。若い人たちが、高品質なファーに関わり、クリエイションをぶつけるのはすごく大事だと感じています。個人的にもファーに興味を持ったので、また何かあれば呼んでほしいですね。

【馬場圭介 スタイリスト】

学生が制作したということで、何か軽い気持ちで来てしまいました。しかしクオリティの高さに驚き、目から鱗（うろこ）というか、逆にこちらが勉強させて頂きました。皆さんに感謝しています。ありがとうございました。

【村上要 WWD JAPAN.com編集長】

僕らが皆さんに期待するのは、新しい毛皮の使い方であったり、毛皮で描く新しいスタイルなんですが、一方でファーの特性を上手に生かして、ファーであることの必然性をアピールしてほしかったと思っています。そういった意味で今回、近藤雄元さんの作品は、「AI」「近未来」といった、（ファーとは）すごく対極的なテーマであるにも関わらず、ファーの特性を上手に生かしたスタイルで、とても素敵だと思いました。

【柳翔吾 FAKE TOKYO チーフディレクター】

先ほど村上さんが言ったように、グランプリを受賞した近藤雄元さんは総合的な評価が高かったです。惜しくも受賞を逃した方も、コンテストは通過点だと思いますので、今後も色々な場所や場面で、皆さんの名前やブランド、デザインを見る機会があるといいなと思っています。そういった意味で、大きな期待を持てるコンテストでした。本日はありがとうございました。